じゃんけんで勝つ確率は「勝つか負けるかの1/2」でしょ?
3人のジャンケンであなただけが勝つ確率は?と聞かれたらどう考えますか?
おそらく、確率を学んでいる人であれば、1/9と答えられると思いますが、こう考える人もいるかと思います。
「自分が勝つか負けるかだから1/2じゃないの?」
もしくは、もう少し気をまわして
「あいこの場合もあるから1/3だよ」
さらに勘のいい人なら
「自分ともう1人が勝つ、つまり2人勝ちの時もあるから1/4だね」
なんて言うのも素晴らしいと思います。
もちろん、これは間違っているのですが、あなたはなぜその考え方ではいけないか分かりますか?
「じゃんけんは、誰が、どの手で、を考えるものだから」
それはその通りですが、"そういうものだから"というのは答えとしては適切ではありません。
それでは、今からそこを解説していきます。
今回のような間違いの原因は、"根元事象の同様に確からしさ"を考えられていないことにあります。
根元事象とは、1と数えるもののことです。
例えば今回でいえば
「勝敗の種類(勝つ、負ける、あいこ、2人勝ち)」
を1と数え、勝つ+負ける+あいこ+2人勝ち=4つの全事象のうち、勝つ=1が起こる場合として1/4を導いてしまっています。
今回指摘する"根元事象の同様に確からしさ"とは、ズバリその1の重みに違いがないか、ということになります。
少し話を分かりやすくするために、じゃんけんからサイコロに置き換えて話します。
たとえば、サイコロで3の目が出る確率は?と聞かれた場合。
根元事象を"1つ1つの目が出る"として
全事象(1の目が出る+2の目が出る+3の目が…+6の目が出る)=6のうち
3の目が出る=1の場合なので、答えは1/6
これは正解ですね。
では、サイコロの3の面に重りがついている場合だとどうでしょうか?
面の数が変わったわけではないため、一見重りが付いていない場合の議論に関与せず、答えは同じく1/6となりそうです。
本当にそうでしょうか?
直感的に違うことは分かると思います。
重りがついている分、3の目が下になりやすい(4の目が出やすい)はずですよね。
なのにそれらを同列に扱っていいはずがない。
実は、それこそが1の重み、つまり"同様に確からしさ"なんです。
特に断りがない場合、サイコロは完璧な立方体であり、密度にも偏りがない、つまり1〜6の目の重みは等しいものであるとしても良いです。
つまり、
重りが付いていない=1の重みが同じ(同様に確からしい)
重りが付いている=1の重みが違う(同様に確からしくない)
ということですね。
以上から、「根元事象として選ぶものは全て同じ重みを持たなければならない(同様に確からしくなくてはならない)」ということが分かると思います。
さて、それでは本題のじゃんけんに戻ります。
はじめに説明したように、今回は根元事象を勝敗の種類としました。
しかし、それら勝つ、負ける、あいこ、2人勝ちの重みは等しいでしょうか?
実際にあなたとAさん、Bさんの3人でじゃんけんをした時の手の出し方を書き出してみると
(あなた,A,B)=(ぐ,ぐ,ぐ) (ぐ,ぐ,ち) (ぐ,ぐ,ぱ) (ぐ,ち,ぐ) (ぐ,ち,ち) (ぐ,ち,ぱ) (ぐ,ぱ,ぐ) (ぐ,ぱ,ち) (ぐ,ぱ,ぱ)…(以下略)
となり、
1人勝ち=3
負ける=9
あいこ=9
2人勝ち=6
通り、それぞれの手の出し方が存在します。
つまり、それぞれ1と考えていた勝敗の種類は1の重みが1:3:3:2となっていたのです。
これこそが、冒頭で提起した「なぜ勝敗の種類で数えてはいけないのか」に対する答えです。
それでは、何を根元事象とすれば良かったのか。
それは、全27通りある、"手の出し方"です。
例えば、(ぐ,ぐ,ぱ) となるのと (ち,ぱ,ぐ) となるのは、3人の手の出し方がランダムであれば同じ重みですよね。
その中で、あなただけが勝つのは3通りでしたから、答えは3/27、つまり1/9となるわけです。
同様に確からしい、この言葉がいかに大切なものか分かっていただけだでしょうか?
ここさえ理解してしまえば、あとは数えるだけです。
これから確率の問題を解く際には、「ぜひ根元事象は何かな?」と言うところを考えてみてください!
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